空の境界全巻読了しました。
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いやあ、前回の感想で予想した通り、まとめると「このまま人間やめるぞ幹也ーーー! てのを黒桐幹也が止める展開」になりましたね!
式が事故に遭った「あの日の夜」についての答え合わせの話という感じで、どんどん伏線が回収されていくのが面白かったなあ。
でもあの、藤乃ちゃんのその後が何も触れられなかったんですが。
いや、登場はしたよ? 登場したけどひと言しか喋らなかったし登場自体一瞬でした……おおお、藤乃ちゃんのその後は一体……。
ネタバレが含まれていますので予めご了承ください。
鮮花ちゃん
やけに式に突っかかるのは「兄さんを取らないで!」的なブラコン仕草なのかな、お兄ちゃん大好きなんだな、って思ってたんですがガチの恋愛感情だったんかワレェ。
自分の恋愛感情を自覚した時期といい、自分を冷静に客観視できることといい、早熟な子なんだなあ。
小さいころから計画練って幹也を落とそうとしてたところにひょっこり現れたのが式だったのか。なるほどトンビに油揚げをさらわれる。それは悔しいし態度がきつくなるよなあ。
それでも嫌うだけじゃなくて良いところは良いと認めたりちゃんと協力できる辺りかなり人間力が高い。本当にしっかりしていて強い子なんだな。
それから、上巻、中巻とさり気なくゲスト出演している感じであんまり印象残ってなかったんですけど、普通に戦闘面でも強キャラなんですね? いや、橙子さんが認めるくらいなんだからそりゃそうか。
炎系の能力者は順当にかっこいいよなあ~。
橙子さんと出会ったっていう猟奇殺人事件? の話って別のどこかに収録されてないのかな。あれってマジで伏線とかではなくただただ猟奇殺人事件で知り合っただけなの? な、なんだそれは……。
ところで、私は君から藤乃ちゃんのその後が引き出せると期待していたんですが……全体で2、3行くらいしか言及がなかったんですが……。
いや、しかし! 確かにろくな描写はなかったが! 藤乃ちゃんは「出かけるの、鮮花?」と言った!!!
これでかいですよ、だって上巻で一緒に出てきた時は「黒桐さん」呼びだったもの!!
距離縮まったんだな、ちょっと前向きになったのかな、少なくとも見た目の上では元気そうだな、というのは感じられます! …… 霞を食べてるような気持ちですが。
玄霧皐月
話が難しくてよく分からなかった人その1。
登場人物の理解力がバカ高かったので読者の私だけが「待ってくれ! 待ってくれ!」ってなってました。皆よく話についていけるな。
つまり、10歳の頃に妖精のちょっかいで記憶の保持ができなくなった人ってことですよね?
映像で認識できない(記憶できない)っていうのはあんまり想像がつきませんが、玄霧さんにとっては、現実世界が「挿絵なしの本」って感じなんでしょうか。
意志がないってのもどういうことなん、つまりAIみたいな人間ってこと? 感情があるように見えても、今まで蓄積してきたデータから最適と判断したロールプレイをしている……?
それにしても言霊使いかあ。言霊使いってどの作品でも総じて強キャラって感じありますね。純粋にかっこいいし心の14歳がそわそわします。
しかもなんか言霊使いの中の言霊使い、ベストオブ言霊使い、みたいな。
バベルの塔以前の人間の言葉が統一言語で、その言葉自体に力があったから、神が言葉をバラバラにして言葉の力を奪った。
ははあ。じゃあカルデアにいるインド勢とかメソポタミア勢って生前は統一言語で喋ってたんでしょうか? 空の境界とは設定がまた別?
まあとにかく、この玄霧さんも魔法使いに最も近い魔術師ということは根源に近いということで、それなら同じく根源に近い式との戦闘って実質頂上決戦なんですよね。玄霧さんのテンションが機械的過ぎてふわっと始まってふわっと終わったけど。
視覚情報を奪った段階で「この程度のことしかできない」とか言ってましたけど、【あなたは」「すでに」「死んでいる】とかの命令はできないんでしょうか?
ただ、言葉は殺せないというのは確かに、それだけで式の天敵ですね。実際(左腕を潰せたとはいえ)完封されたし、これからも誰も玄霧さんに太刀打ちできないまま、この人はずっと記憶の収集と返還とかいう趣味……趣味? を続けていくんだろうな……。
……と思ったら死んだーーーーー!?
この人こんなにあっさり退場していい人やったんか……? 明らかに最強レベルのキャラなのに?
しかもこれやったの黄路先輩ですよね? 妖精使役してたとはいえ普通の女子高生にこんなあっけなく?
でもまあ、この人かなり生きるのしんどそうだったし最期楽しそうだったし、死は救いなのか……?
自分を殺した犯人に疑いがいかないように鍵かけて密室作って死んだところみるとやっぱり意志というか、感情ありそうだけどなあ。本当のところどうだったんだろう。
黒桐幹也
おお黒桐幹也、お前は一体どこへ行く。
幹也「葉山は生徒を援交に使ってたよ」
私「どうやって……いや援交の相手側を問い詰めればいいのか。まあ分かるか?」
幹也「暴力団に借金してたみたいだし」
私「まさか暴力団のお知り合いが???」
幹也「玄霧皐月について、当時を知ってる人に話を聞いたんだけど」
私「ウェールズに住んでいた人間の幼少期を知っている人を見つけ出した……??」
刑事の叔父さん「お前クスリについて詳しかったよな?(捜査資料バサー)」
私「詳しいの?? 刑事がそれを把握しててお咎めなしなのもどうなの???」
幹也「試してみたけど普通のクスリと大差なかったよ」
私「試したの? クスリを?? しかも初犯じゃないの????????」
幹也「知人の売人に話を聞く」
私「知人の売人がいるの??????????????」

わ、分からない……黒桐幹也が分からない……。
白純里緒
話が難しくてよく分からなかった人その2。
話がというか、情緒不安定過ぎて「何言ってんだこいつ?」となった人です。まあ自我崩壊してるようなものだから言動が支離滅裂なのはそれはそう。
式が好きなのか幹也が好きなのかどっちなんだい!
「仲間が欲しい」が根底にあるから、「同じ殺人鬼になってくれそうな式」と「自分に情をかけてくれる幹也」のどっちにも惹かれるのか。
それにしても「式が好き!」→「やっぱり幹也しか勝たん」→「いいや、やっぱり俺には式しかいない!」のスピード感ありすぎて落ち着け落ち着け。もう自分でもわけ分からなくなっちゃってるんだろうな。
幹也勧誘の場面があまりにも猗窩座で笑ってしまいました。こんなん完全に「死ぬ……死んでしまうぞ杏寿郎!」「鬼になれ!! 鬼になると言え!」じゃん。いえ、こっちの方が10年以上先に出てるのはもちろん分かっていますがね。
結局は、殺人の罪と責任から逃れたくて「自分は狂ってるから人を殺してもしょうがない」と自己正当化して逃避する、ただの人間だったというお話なんですよね。
選ばれた人間なんかじゃなかった、特別なんかじゃなかった、責任から逃げ続けている弱い人間だった。でもそんな事実は認められない、気付いてしまったら耐えられない……。
……これ私にもダメージ入るな。誰かと喧嘩した時に「でも私にもこういう事情あったし!」と自分を擁護してしまうことはあるし、それが殺人とか抱えきれない重大な罪になってくると……。
正しい人間でありたいと願っていますが、もしも、万が一そういう状況になってしまった時、私はちゃんと正しい選択肢を選べるんでしょうか? 嫌な想像ですが、もしかしたら耐え切れず逃避してしまうかもしれません。
人間の弱い部分というか、嫌なあるある(極端なすがた)を見せつけられるようで、考えさせられるキャラクターでした。4年間ストーカーしてるのは論外で全く共感できませんが。
ところで白純先輩の外見がジェネリック式みたいになってたのは何でなんですか? 起源に覚醒したらそれに引っ張られて肉体も変化するみたいな話がありましたが、その結果が金髪赤目の式なの? なんじゃそりゃ。
式は根源に近い→起源に覚醒すると根源に近づく→根源に近い式に外見が寄る
ということですか? 分からん。
それから、白純先輩関連で一番テンション上がったのが、上巻からの伏線が綺麗に回収されていったことでした。
- 殺人考察(前)の序文「1995年4月 僕は彼女に出会った」
→これ幹也じゃなくてお前の独白だったんかーい! - 中巻の舞台であるマンションの住人名簿に名前が載っていた
→載ってたっけ? (中巻を確認)……載ってたー!! - 幹也が式の屋敷を訪ねる前に先輩が呼び止めて時間調整した
→そんな描写あったっけ? (上巻を確認)……132ページの先輩ってお前かー!!
いやあ、特に式の屋敷訪ねる時の先輩とか影薄すぎて全然記憶にありませんでした。あれが仕組まれたものだったとは。こういう答え合わせが楽しいんですよね~!
エピローグについて
「―――久しぶりね、黒桐くん」
話が難しくてよく分からなかった人その3。最後の最後で誰だお前ー!?
いやあれか、中巻で荒耶宗蓮相手にちょっと出てきてた人か。それにそういえば、幹也も「最初に会った時のことを式は覚えてないみたい」的な事を言ってたな。そこも伏線かあ。
それにしても式の体ややこしいな。式と織がいて体の方にも人格があるの?
それから、式の身体能力がバカ高いのは根源に繋がってるからって解釈でいいのかな。世界改変すらできるなら身体能力向上くらいわけないのか。
両儀式の根源に繋がってる部分で、なんでも叶える力があるならつまらないと思うのも道理だし、幹也が「何もいらない」って言ってくれて嬉しかっただろうな。
人格云々の話は「へーそうなん(IQ2)」で読んでたんですが、式と幹也の対比のところはよく分かりましたよ!
究極の「特別性」な式と究極の「普遍性」な幹也は互いに対極、つまり両儀。ふたりはお似合いマックスハートということですね! いやあ二人がいい感じに収まって何よりです!
総評
下巻は、全体的に「意志ある人間と意志のない(あるいはブレている)人間の争い」という印象を抱きました。「自己とは何か?」が明確で、ブレない人間が勝ち残るような。
世界観説明や各キャラの主張は私にはちょっと難しすぎて「もっとIQ下げて会話してくださる?」と何度思ったことかしれませんけど、雰囲気だけでも大変楽しめました。
型月世界の履修のため……いえ、Fate世界線の予習のために手に取った作品でしたが、キャラクター自体にかなり惹き込まれました。おすすめの作品です。
ところで藤乃ちゃんのその後が分かる話がFGO以外でありましたらどなたか教えてくださると嬉しいです。
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